瞬膜腺癌の犬の1例

動物がん診療サポート 池田雄太

 

はじめに

瞬膜腺癌は犬や猫の瞬膜腺(第三眼瞼)に発生する癌で、発生は稀である。その他瞬膜に発生する腫瘍には、扁平上皮癌や肥満細胞腫、メラノーマ、リンパ腫などが報告されている。

今回ダックスフントに発生した大型の瞬膜腺癌にたいして眼球を含めた付属器を一括切除することで、完全切除を達成し、良好に経過している症例を報告する。

 

症例

M・ダックスフント メス 13歳
右目の瞬膜腺癌うたがいの精査治療を目的に紹介受診された
既往歴:特になし

体重5kg 体温38.5℃ 心拍数120回/分 呼吸数30回/分
一般状態   :良好
一般身体検査 :右目の瞬膜に突出する腫瘤が形成されている。右目は頭背側へ変位し、

瞬目困難
レントゲン検査:特記すべき異常所見なし
眼球超音波検査およびCT検査:瞬膜腺の位置に腫瘤が形成されており、腫瘤は眼窩深部方向へ

伸展、一部で頭蓋骨の菲薄化があり、腫瘍の浸潤も否定できない。眼球の構造は保たれている。
血液検査:特記すべき異常所見なし

 

診断 瞬膜腺癌うたがい(紹介元の細胞診所見)

治療

第10病日、手術を実施した。腫瘤は眼窩を占拠しており、完全摘出には眼球を含めた一括切除が必要と判断した。眼瞼を閉鎖する経眼瞼法にて瞬膜を含めた眼球付属器一括切除を行った。経過は良好であり、手術翌日退院とした。14日後の抜糸の際には眼瞼周囲の腫脹もなくなり、良好であった。

病理診断

瞬膜腺癌 完全摘出

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

考察

瞬膜腺癌は転移率は低いが、局所再発は起こり得るため、完全摘出による局所管理が重要である。若齢犬にも発生する瞬膜腺突出(チェリーアイ)と類似した外貌をしめすため、鑑別が重要である。

瞬膜腺癌は老齢動物に発生し、増大傾向を示すこと、またチェリーアイでは眼球の変位などは起こさないことが鑑別のポイントである。

​眼窩への浸潤評価には超音波検査やCT検査が有効であり、特にCTでは骨浸潤の評価が可能であるため、頭蓋骨、眼窩病変の詳細把握に重要である。

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